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糸島 西洋なすの立役者 -寺本ダーウィン農園-

糸島 西洋なすの立役者 -寺本ダーウィン農園-

2017.07.19

セミの声と波の音が重なりはじめた7月の初旬、

古くて雰囲気のある古民家で畳のにおいが香る部屋、

朱色の昭和感溢れるトレイで出してもらった冷たいお茶がきれいな金色に光っている。

 

「 なんでも聞いてください! 」

 

タイダイ染めのTシャツが気持ちいいくらいに似合っていて、気持ちいいくらいの笑顔でむかえてくれた

のは西洋茄子というめずらしい品種のなすを出品いただいている寺本ダーウィン農園の寺本洋平さん。

引っ越して数年経つ今でもまだ使えていない部屋があるという旧い大きなお家には豊かに並んだ植木と池の跡、

昔ながらのりっぱなお盆などの生活用品があり、前の居住者がていねいな暮らしを営んでいたことが

充分に伝わってくるし、寺本さんからもそれらを大切にされているということが伝わってくる。

 

味のある四角いちゃぶ台もこの家に残されていたんだろう、それを挟んで僕の正面に座る寺本さん。

畳の部屋でひげの男ふたりが過ごした大人の本気対談の様子をお届けします。

 

 

 

農家になると決めて、家族には事後報告でした。

- 寺本さん - 

「 もともと生まれは熊本なんです。

20歳のときに福岡市内へ出て来て整備士を目指してました。

当時は業務の特性上どちらかというとひたすら整備作業に没頭して " 一人でもくもくと " という感じ。

そのあとアパレルの仕事をはじめるんですけど、そっちは " 人に伝える " という感じだったんです。

アパレルはシーズンごとに商品が出来上がっては旧くなる、そのあまりにも早いサイクルについて行けなく

なってしまってもっと " 普遍的なもの " を自分がだんだん求めるようになっていった。

 

そして26歳のときに福岡市役所の農林水産課へ直接行って『僕、農家になりたいんです』と伝えました。

そしたら農業をやってくれる人を募集している雇い主と、やりたい人をマッチングしてくれる制度があって、

それをきっかけに糸島の農家さんと出逢って就農できることになりました。

家族には『農家になりました』と事後報告でしたね(笑) 」

 

" できた野菜 " 、ではなくて " 育てた野菜 " を食べてほしい

「26歳で就農して4年間修行させてもらって、30歳の時に独立しました。

お世話になった農家さんのところがネギを作ってた事もあって最初は青ネギからスタート。

糸島の山側に畑があるんですけど、流れてる水や気温の上り方下がり方などを見ながらこの土地

に合う品種を試作し始めて、たぶんこれまでに100種類以上試しましたね。

山間部で気温の差が平地より大きい、山からのダイレクトな水が引けることで作物の身がしまる。

それってネギづくりにすごく向いている。

 

そんな中で、『自分の気持ちが入る野菜(品目)を作りたい』と思うようになってきた。

気持ちが入っていないとお客様に自分が薦められないじゃないですか。

" できた野菜 " 、ではなくて " 育てた野菜 " を食べてほしいって思ったんです。

 

この辺りは水がすごくきれい。

なすはインドが原産で、高温多湿を好むから日本の夏にすごく向いてる。

だから水分の多いなすにもいいんじゃないかと。

当時糸島で西洋なすを作ってる人もあまりいなかったから、じゃあ自分がやろうと西洋なすを作りはじめた。

なすは一個一個に手間がかかるし作る人の技量によっていいものになるかどうかが出やすいけど、作り

続ける事で確固たるものにしたいと思った。」

 

茄子のスペシャリストになりたい!

「なすって世界中でいろんな品種をいろんな人が作ってて実のなる木も違えば実のなり方も違う。

品種が多いからいろいろ遊べるしおもしろそうだなって思ったんです。

日本だけでも京都は賀茂茄子、大阪は水なす、山形は民田なす、熊本は赤茄子、宮崎には佐土原なす

なんてのもある。

今年は白ネギとリーキって言う西洋ネギ、それからなす5種類 ( トルコなす、ゼブラなす、米なす、

ローザビアンカ) を作ってるんですけど、来年はなすだけでも10種類くらいに増やしたい。  

漬け物に向いてるなすとか、焼くとおいしいなす、煮物にしたらおいしいなすとか。

それぞれに特化したものを作ってみたい。

方法は限られてるかもしれないけどアイデアは無限ですからね。

糸島で茄子のスペシャリストになりたい。」

 

「なに農法なのか」ではなく、「自分農法」でいたい。

「 これからもいろんなものを作っていきたいし、誰かがもうすでにやった農法ではなく

 " 自分農法 " で作り続けて行きたいんです。

八百万の神はいると思うし、科学も大切。 どちらも50% : 50%。

だからダーウィン農園という名前にしたんですよね。

腕力があっても頭が良くても、変化できなければ生き残って行けないですから。

 

糸島でなすと言えば寺本だ!、そう言ってもらえるようにしたいです。」

 

お話を伺ったあとに畑にも案内してもらったのですが、寺本さんの人柄がそのまま伝わって来る

ような丁寧に手入れのされた畑で、あぐり店頭でお馴染みになった西洋なすたちがみずみずしく

あちこちにぶらさがっていました。

白いトルコなすは加熱するとねっとりとした食感でとてもおいしく、店頭でも人気のあるなすに

なりました。

個人的におすすめなのはゼブラなすのグリル。

緻密でなめらかな実がほくほくしていて、粗塩を少しだけかけるとより味わい深くなります。

今月末、7月30日(日)に店頭で開催の朝市&マルシェ 長糸ふる里いち にも出店いただく予定なので

直接寺本さんとお話ししながらお気に入りのなすを見つけてみてください。

 

糸島でなす といえば寺本さん。

ご本人には内緒ですが、そう言われる日が来るのは近いんじゃないかなと僕はひっそり思ってたりするんです。

 

 

《寺本ダーウィン農園》

「自然環境と調和した農業」を基本理念とする糸島の農家さん。

農業生態系の多様性、安全性、安定性、生産性を両立し持続可能

な作物生産を行われています。

instagram : https://www.instagram.com/darwin_farm/

 

written by 山口達也

 

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